【SAP】SD ロット/バッチ自動決定規則

SAPのロット自動決定が行われるタイミング

SAPでロット自動決定が行われるタイミングはモジュール別に4つあります。

WMモジュール
PPモジュール
MMモジュール
SDモジュール


本章では上記のうちSDモジュールのロット自動決定について解説します。

SD ロット自動決定タイミング

SDのロット自動決定タイミングは2つあります。

①受注伝票登録時
②出荷伝票登録時


本章ではより使用機会が多いと思われる出荷伝票登録時をベースにロット自動決定について解説します。※どちらもロット自動決定のロジックは同じです。

ロット自動決定 関連オブジェクト

名称詳細
ロット検索手順              複数の方針タイプが定義されている。販売エリアと伝票タイプの組み合わせにより受注/出荷伝票登録時に自動提案される。
方針タイプ方針タイプごとに検索順序を割当できる。クラスやソート順序の設定も可能。カスタマイズによっては条件タイプと記載されていることもある。条件タイプ=方針タイプという理解でOK。
検索順序条件テーブルの数・優先順位が定義されている。方針タイプに検索順序を割り当てて使用する。
条件テーブルマスタ登録時のキーの組み合わせを定義したテーブル。業務要件に応じたキーの組み合わせで条件テーブルの作成が可能。
クラス         ロットの特性情報を定義したもの。業務要件に応じて自由に特性情報を追加できる。(例:原産国や有効期限など)
ソート順序ロット自動決定時のソート順を定義したもの。

ロット自動決定 全体概要フロー

標準の出荷タイプ”LF”を例にするとロット自動決定の全体概要フローは以下のようになります。
本ページでは以下6つのSTEPに分けてロット自動決定の詳細について解説します。

<ロット自動決定順序>
①販売エリア×受注タイプ→ロット検索手順
②ロット検索手順→方針タイプ
③方針タイプ→検索順序
④検索順序→条件テーブル
⑤選択条件&ソート順序適用→ロット自動決定

⑥注意事項(事前設定が必要なカスタマイズ/マスタ)



ロット自動決定 詳細

販売エリア×受注タイプ→ロット検索手順

対象カスタマイズ

メニューパスカスタマイズ名Tcode
ロジスティクス-一般 -> ロット管理
-> ロット決定->ロット検索手順の割当
割当: 販売管理の
検索手順/有効化チェック
不明

カスタマイズ詳細

販売組織×流通チャネル×製品部門×販売伝票タイプの組み合わせでロット検索手順が割り当てられていることが確認できます。出荷伝票作成時に参照元となる受注の伝票タイプを元に組み合わせが決定されるため出荷伝票タイプは設定不要です。(参照なし出荷を除く)

②ロット検索手順→方針タイプ

対象カスタマイズ

メニューパスカスタマイズ名Tcode
ロジスティクス-一般 -> ロット管理
-> ロット決定->ロット検索手順の定義
定義: 販売管理検索手順不明

カスタマイズ詳細

ロット検索手順”YB0001″を選択しダイアログ構造の制御データをクリック

ロット検索手順”YB0001″に3つの方針タイプ(条件タイプ)が設定されていることが確認できます。

③方針タイプ→検索順序

対象カスタマイズ

メニューパスカスタマイズ名Tcode
ロジスティクス-一般 -> ロット管理
-> ロット決定->方針タイプ
定義: 販売管理方針タイプ不明

カスタマイズ詳細

詳細確認したい方針タイプを選択しダブルクリック

方針タイプ”YB11″には検索順序”SD01″が割当されていることを確認できます。

④検索順序→条件テーブル

対象カスタマイズ

メニューパスカスタマイズ名Tcode
ロジスティクス-一般 -> ロット管理
-> ロット決定->検索順序
定義: 販売管理の検索順序不明

カスタマイズ詳細

検索順序”SD01″を選択しダイアログ構造の検索をクリック

検索順序”SD01″には2つの条件テーブルが設定されていることを確認できます。
ロット決定の条件テーブルはテーブル番号にKOTHをつけたものがテーブルIDとなります。
 例)KOTH002、KOTH001

⑤選択条件&ソート順序適用→ロット自動決定

ここはカスタマイズの設定ではなく条件マスタ登録時に考慮すべきポイントを条件マスタ登録の流れに沿って記載しています。

①条件マスタ登録(Tcode: VCH1)
任意の方針タイプ(ここではYB11)を入力、任意の条件(ここでは品目コード)を選択

対象の品目コードを入力

②選択条件の設定
画面左上の選択条件をクリック

ロットの選択条件を入力
クラスは方針タイプに設定した値がデフォルト提案されていますがマニュアル変更可能です。
※本ページではデフォルト提案されたYB_BATCHをYN_EMW01にマニュアル変更しています。

ここでは原産国がUSのロットのみをロット自動決定の対象とするよう選択条件を指定しています。
業務要件に応じて様々な条件が設定できます。


③ソート順序の設定
画面左上のソートを選択

ロット自動提案時のソート順序を設定します。
ソート規則は方針タイプに設定した値がデフォルト提案されていますがマニュアル変更可能です。
ここではロット番号の昇順にロット提案されるように設定しています。


④保存
①〜③の設定が完了したら保存します。


⑥注意事項(事前設定が必要なカスタマイズ/マスタ)

カスタマイズ①

以下カスタマイズでWMでのロット決定を有効化している場合は、本章で紹介したカスタマイズが設定されていたとしてもSDでのロット自動決定が機能しなくなるため注意が必要です。

メニューパスカスタマイズ名Tcode
他のSAPコンポーネントとの統合-> 拡張倉庫管理->EWMリンクの基本設定設定: SAP EWM固有パラメータ不明

倉庫ごとに設定するカスタマイズとなっており、以下赤枠で囲ったBatch determinationのチェックボックスが有効化されていると、WMのロット自動決定が優先されるためSDのロット自動決定が機能しなくなります。

WMモジュールを使用している場合は注意してください。

カスタマイズ②

以下カスタマイズが有効になっていない場合は、本章で紹介したカスタマイズが設定されていたとしてもSDでのロット自動決定が機能しなくなるため注意が必要です。

メニューパスカスタマイズ名Tcode
ロジスティクス-一般 -> ロット管理
-> ロット決定
有効化: 自動ロット決定(SD)V/CL

マスタ

品目マスタの販売ビューにて、ロット管理のフラグを有効化にすることも忘れないように注意が必要です。

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