【SAP】取引先機能SDカスタマイズ徹底解説!

取引先機能の概要紹介

販売管理伝票では受注先、出荷先、請求先などを代表とした受注から請求までの取引に登場するビジネスパートナーを取引先機能という項目で保持しています。
販売伝票とは、受注伝票(ヘッダ/明細)、出荷伝票(ヘッダ)、請求伝票(ヘッダ/明細))をここでは指しています。

基本的には伝票のヘッダと明細それぞれで取引先機能を保持しており、それぞれ同様のロジックで値を制御しています。

本ページでは、受注ヘッダを例に以下2点を説明します。
①取引先機能(受注先や出荷先等)の決定方法
②BPが担える取引先機能

①取引先機能の決定方法

取引先機能はカスタマイズとマスタによって、どのような値を自動提案するか・マニュアル入力可能かどうかなどを制御しています。

受注ヘッダを例に取引機能決定の流れを図示すると基本的には以下のようになります。
本章では以下3つのステップで説明します。
①受注タイプから取引先決定表が決定
②取引先決定表から受注に初期提案する取引先機能が決定
③受注先のBPマスタから具体的な取引先機能の値が決定

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

1−1. 受注タイプから取引先決定表の決定

対象カスタマイズ

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
SD▼販売管理
 ▼基本機能
  ▼取引先決定
設定:取引先決定VOPAN
S_AL0_96000423

カスタマイズ “設定:取引先決定(Tcode: VOPAN)” では、受注タイプと取引決定表の割当を設定することができ、ここで設定した値を元に受注タイプから取引先決定表が決まります。

*受注明細カテゴリ、出荷タイプ、請求タイプ/明細カテゴリについても本カスタマイズで取引先決定表の紐付きを設定することができます。

カスタマイズ詳細

カスタマイズ選択後、以下画面から “設定:販売伝票ヘッダの取引先決定”を選択

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

“取引先決定表割当”から受注タイプと取引先決定表の割当が設定できます。

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

1-2. 取引先決定表から受注に初期提案する取引先機能が決定

対象カスタマイズ

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
SD▼販売管理
 ▼基本機能
  ▼取引先決定
設定:取引先決定VOPAN
S_AL0_96000423

取引先決定表では、どの取引先機能を必須入力とするか、変更ができるかどうかなどを設定することができます。受注タイプ”OR”に紐づく標準の取引先決定表”SO02″では、以下4つの取引先機能が入力必須として受注ヘッダに提案されるように設定されています。

SP(受注先):トヨタ自動車 本社 ※入力必須、変更不可
BP(請求先):トヨタ自動車 本社 ※入力必須、変更可
PY(支払人):トヨタ自動車 本社 ※入力必須、変更可
SH(出荷先):トヨタ自動車 〇〇工場 ※入力必須、変更可

カスタマイズ詳細

カスタマイズ選択後、以下画面から “設定:販売伝票ヘッダの取引先決定”を選択

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

“決定表における取引先機能”から取引先決定表の詳細設定が可能です。
本設定で取引先決定表に割当する取引先機能を定義したり、入力必須かどうか、変更可能かどうかなどを制御しています。

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ
表示項目名用途
Parpr      取引先決定表
機能取引先決定表に割り当てられた取引先機能
名称取引先機能名称
C変更可能かどうかを制御している項目。チェックされた取引先機能は初期提案された値から変更は出来なくなる。
PM入力必須かどうかを制御。チェックされた取引先機能は伝票に初期提案され、何かしらのBPコードを入力する必要がある。チェックされていない取引先機能はマニュアルで伝票に入力することが可能。
取引先機能のBPコードをどの取引先機能から取得するか制御している。設定していない場合は、受注先のBPマスタで設定されたBPコードがそれぞれの取引先機能に提案される。海貨業者など受注先ではなく、出荷先によって決まるような取引先機能の場合はSH(出荷先)を指定することで、出荷先のBPマスタに設定された値が提案される。※SO02の設定では受注先から決まるように設定されている。
BPコードの値をどのように取得するかを制御している。A〜Eまで選択肢がある。Cの場合、BPマスタで設定した値からのみ取得しマニュアル入力不可となる。BPマスタの設定不備があると不完全伝票となってしまうため注意が必要。
順序BPの取得順序を制御している。基本的には使用せず、"元"とセットで使用する項目。数字の小さい順にBPコードが取得される。

例)CR(海貨業者)の"元"=SH(出荷先)を指定した場合、CRの値は出荷先によって決まるため、"順序"=1を設定する必要がある。

順序"0"=受注先のBPから出荷先が提案 ※設定がブランクの場合は順序=0となる。
順序"1"=出荷先から海貨業者が提案 
※CR(海貨業者)の順序=0の場合は、出荷先が決まっていないため海貨業者が提案されない。
印刷関連取引先機能を帳票に出力する場合に使用する項目。使用しなくとも帳票出力はできるため使用は任意。
印刷ラベル               印刷関連同様

1-3. 受注先のBPマスタから具体的な取引先機能の値が決定

基本的に各取引先機能に提案されるBPマスタは、受注先に入力したBPマスタに設定されている取引先機能のBPマスタが提案されます。

下図の例では受注先に指定したBPマスタ”CUS01_JP”のBPマスタ:販売管理ビューの取引先機能タブで以下のように取引先機能が設定されているため、受注伝票に受注先”CUS01_JP”を入力したタイミングで各取引先機能に以下BPが自動提案されます。

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

②BPが担える取引先機能

これまで、取引先機能がどのようなロジックで受注に提案されるか説明しましたが、本章ではBP毎にどのような取引先機能を担うことができるのか解説します。

SAP標準の取引先決定表”SO02″では11個の取引先機能が定義されていますが、各取引先機能に自由にBPコードを入力できる訳ではありません。BPマスタ毎に担うことができる役割は勘定グループ(カスタマイズ)で制御されているからです。

BPが担える取引先機能の設定をイメージにすると以下のようになります。
本章では、以下3つのステップで解説します。

①BPマスタからグルーピングの決定
②グルーピングから得意先勘定グループの決定
③得意先勘定グループから担える取引先機能の決定

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

2-1. BPマスタからグルーピングの決定

BPマスタ作成時、グルーピングは必須設定の項目となっておりBPマスタとグルーピングは1:1の関係となります。

Tcode:BPで対象のBPマスタを検索後、以下手順でBPに紐づいたグルーピングの確認が出来ます。
メニューバー:補足 -> 登録/変更

※Table: BUT000から参照も可能です。

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

2-2. グルーピングから勘定グループの決定

対象カスタマイズ

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
FI▼クロスアプリケーションコンポーネント
 ▼マスタデータ同期
  ▼得意先/仕入先統合
   ▼ビジネスパートナー設定
    ▼得意先統合設定
     ▼得意先統合の項目割当
      ▼キー割当
定義:番号割当 ビジネスパートナー -> 得意先S_PL7_36000001

上記カスタマイズにて、グルーピングと勘定グループの紐付け設定をすることができます。
SAP標準のグルーピング”BP03″は勘定グループ”CUST”に紐づいています。

カスタマイズ詳細

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

2-3. 勘定グループ毎に担える取引先機能の定義

対象カスタマイズ

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
SD▼販売管理
 ▼基本機能
  ▼取引先決定
設定:取引先決定VOPAN
S_AL0_96000423

上記カスタマイズでは、勘定グループに紐づくBPがどのような取引先機能を担うことができるか定義しています。

カスタマイズ詳細

カスタマイズ選択後、以下画面から “設定:販売伝票ヘッダの取引先決定”を選択

“勘定グループ – 機能割当”から取引先機能と勘定グループの割当設定が可能です。
SAP標準の勘定グループ”CUST”では1A(得意先階層1)〜ER(担当従業員)までの18個の得意先機能が割当されています。そのためグローピング”BP03″で作成したBPは18個の取引先機能を担うことができます。

SAP 取引先機能 SD カスタマイズ

反対に、CUSTで定義されていない取引先機能を担うことは出来ません。

関連カスタマイズ一覧

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
SD▼販売管理
 ▼基本機能
  ▼取引先決定
設定:取引先決定VOPAN
S_AL0_96000423
FI▼クロスアプリケーションコンポーネント
 ▼SAPビジネスパートナー
  ▼基本設定
   ▼番号範囲/グルーピング
定義:グローピング/割当 番号範囲S_ABA_72000040
FI▼財務会計
 ▼債権管理及び債務管理
  ▼得意先コード
   ▼マスタデータ
    ▼得意先マスタデータ登録準備
定義:得意先勘定グループ/画面レイアウトOBD2
FI▼クロスアプリケーションコンポーネント
 ▼マスタデータ同期
  ▼得意先/仕入先統合
   ▼ビジネスパートナー設定
    ▼得意先統合設定
     ▼得意先統合の項目割当
      ▼キー割当
定義:番号割当 ビジネスパートナー -> 得意先S_PL7_36000001

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