【SAP】税決定規則 SDカスタマイズ徹底解説!

SD(販売管理)の税概要

SDに関連する税

得意先に対してモノやサービスを提供する日本の取引を例に説明すると、請求伝票作成時以下のような会計仕訳が作成されます。
本ページでは仮受消費税のようなSD領域に関連のある税がどのように決定されるか解説します。

SAP 税決定規則

SDにおける税決定タイミング

SD(販売管理)における税決定タイミングは2つあり、それぞれ以下となります。

①受注伝票作成時
②請求伝票作成時
※受注/請求作成時に価格決定表が決定する為

受注伝票と請求伝票は同様のロジックで税決定をしており、また受注と請求で異なる税/価格情報になることはあまりないため、本ページでは受注伝票を例に税の決定規則を説明します。

SAP 税決定規則

税決定 カスタマイズオブジェクト一覧

税決定に関連するカスタマイズオブジェクトは基本的に価格決定と同じ為、価格決定と重複しているオブジェクトに関しては本ページでの説明を省きます。※価格決定については近日公開予定。

名称詳細
品目税分類条件テーブルのキーとして使用。品目マスタの販売管理ビュー1で設定。
得意先税分類条件テーブルのキーとして使用。得意先マスタの"請求"タブで設定。

税決定規則 全体概要フロー

標準の条件タイプ”MWST(仮受消費税)”を例にすると、税決定の全体概要フローは以下になります。
条件テーブルを除き価格決定規則と同様のロジックとなります。

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

本ページでは以下6ステップのうち⑤⑥について解説します。※①〜④については価格決定規則と同様のため説明を省きます。価格決定規則の記事は近日公開予定です。

①受注タイプ→伝票価格決定表、得意先マスタ→得意先価格決定表
②”販売エリア×伝票価格決定表×得意先価格決定表”→価格決定表
③価格決定表→条件タイプ
④条件タイプ→検索順序
⑤検索順序→条件テーブル ★対象
⑥税決定
★対象

税決定規則 詳細

検索順序→条件テーブル

対象カスタマイズ

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
SD販売管理 -> 基本機能 -> 価格設定 -> 価格設定管理
-> 検索順序
設定: 検索順序 S_ALR_87006683
V/07

カスタマイズ詳細

検索順序 “MWST” を選択しダイアログ構造の “検索”をクリック

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

検索順序 “MWST” に割当する条件テーブルを設定でき、MWSTには3つの条件テーブルが割当されています。
条件テーブル毎にキーの組み合わせは異なります。

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

処理イメージ

条件テーブルに設定された番号順に条件に一致するレコードがないかチェックします。
条件に一致するレコードがなければ次のテーブルを検索し、無ければまた次のテーブルを…という具合に、条件に一致するレコードが見つかるまで全ての条件テーブルを上から検索します。
条件に一致するレコードが見つかった場合、そこでテーブル検索処理は終了します。

⑥税決定

条件テーブル項目一覧

検索順序”MWST”に割当された3つの条件テーブルを例にすると以下になります。
得意先税分類と品目税分類の詳細は後続で説明します。

項目名称値取得元関連テーブル
出荷国出荷Plantに設定された国出荷国→仕向国:A078
国内:A002
輸出:A011
仕向国出荷ポイントに設定された国出荷国→仕向国:A078
輸出:A011
得意先税分類得意先マスタの請求タブ出荷国→仕向国:A078
国内:A002
輸出:A011
品目税分類品目マスタの販売管理ビュー1出荷国→仕向国:A078
国内:A002
輸出:A011

対象カスタマイズ①(得意先税分類)

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
SD販売管理 -> 基本機能 -> 消費税管理定義:マスタレコードの税関連 OVK3

カスタマイズ詳細①(得意先税分類)

カスタマイズ選択後、以下画面から “更新:得意先の税関連”を選択

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

以下カスタマイズで税カテゴリ毎に使用可能な税分類を割り当てている。
要件に応じて新規税カテゴリや税分類を追加可能です。

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

カスタマイズで設定した値は、得意先マスタの”請求”タブで設定します。
※以下はあくまでイメージです。標準設定ではUSにMWSTは使用されていません。

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

対象カスタマイズ②(品目税分類)

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
SD販売管理 -> 基本機能 -> 消費税管理定義:マスタレコードの税関連 OVK4

カスタマイズ詳細②(品目税分類)

カスタマイズ選択後、以下画面から “更新:品目の税関連”を選択

以下カスタマイズで税カテゴリ毎に使用可能な税分類を割り当てている。
要件に応じて新規税カテゴリや税分類を追加可能です。

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

カスタマイズで設定した値は、品目マスタの販売管理ビュー1:税データで設定します。
※以下はあくまでイメージです。標準設定ではUSにMWSTは使用されていません。

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

税決定規則 関連カスタマイズ

本編で紹介していないカスタマイズの中で、税決定に関連する主要カスタマイズを紹介します。

①税決定規則(割当:国×税カテゴリ)

モジュールメニューパスカスタマイズ名Tcode
SD販売管理 -> 基本機能 -> 消費税管理定義:税決定規則 OVK1

SAPでは国毎に利用可能な税カテゴリを本カスタマイズで制御しています。
国ごとに使用する税カテゴリの数や種類は様々な為、国:税カテゴリ=1:Nで設定可能です。

得意先マスタや品目マスタで税分類を設定するときは、国ごとに本カスタマイズで設定された税カテゴリのみしか使用できません。

以下を例にすると、アルゼンチンやオーストリアはMWSTしか税カテゴリが割り当てられていない為、MWST以外の税カテゴリを品目マスタや得意先マスタで設定することはできません。

新規税カテゴリを追加した際はメンテ必須のカスタマイズとなります。

SAP 税決定規則 カスタマイズ SD

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